あれから放課後になった。
いつも通り、薊ちゃんと一緒に帰ろうと下駄箱に向かう。
靴を履き替えて、決心して外に出れば、
みんなの視線がこちらに向いた。

「かえろー茉。大丈夫だって」
こくり、と頷く。

人が多いところとか、男子がいるところでは基本話せない、喋れない。
薊ちゃんの前でさえ、頑張っているのだ。

「ねぇねぇ、茉ちゃん、一緒にかえろー?」
「お前なに言ってんだよ。茉ちゃんと変えるのは俺だ!」
先輩たちが次々と話しかけてくる
そんな人たちに薊ちゃんが
「必要ないです。私が一緒なので」
といい、追っ払おうとする。
でも、先輩たちは聞こうともしなかった。
「ねーねー。高嶺ちゃん、一緒に帰ろーよぉー」
先輩のうちの一人が、私のカバンをつかんだ。
ちゃんとチャックを閉めてなかったから、中身が出てきてしまう。
「あ、ごっめーん! 今返すよー」
なんて言いながら、先輩はへらへらと笑う。
早く、返してほしいなぁ。