・・・

「で、恋したんだ?」

ぶんぶん、と勢いよく頭を縦に振る。

お昼は薊ちゃんと一緒に食べている。
大好物のメロンパンを口いっぱいに頬張りながら、
いつものように相談していた。

「どう、すれば…いい?」

話しなれない声で問う。

「したいようにすればいいんじゃないかな?」
「したい、ように…?」
「そう。茉が今後、空木くんとどうしたいか、だと思うな。」


私の今日の相談は恋愛相談だった。
幼馴染みの空木連翹(うつぎ れんぎょう)くんに、
恋心を抱いたから。
いつも守ってくれて、うれしかった。
他の女の子と話してるのが見たくなくて、
おかしいなと思って。
考えれば、簡単だった。

━━私、連くんが好き。

私が一言言えば、真剣に考えてくれる薊ちゃん。
優しいな。
いい友達を持ったなと思ったの。

「どう、したいか……振り向いてほしい。」

私を。私を見てほしい。
大好きだよって撫でられたい。

「そっか、うん。がんばって!」

私は応援するよ。と薊ちゃんが微笑む。

私も

「うん。」

精一杯の笑顔で返す。

「ありがとう。薊ちゃん。」


ガチャ


「大霍(おおかく)さん。先生が読んでたよ。」
「おーす。いまいくよー!」

薊ちゃんは、がんばってね。と一言残して、屋上から出ていってしまった。

「どうしたいか…どうしたら、振り向いてくれるの?」