「人の話聞いてたのかよ!」 「…一曲、一曲聞いたら行くよ」 「和也の声、忘れたくない」 忘れない。 でも、手術が怖くない訳じゃない。 もう二度と聞けないかもしれない和也の声。 せめて和也がデビューするまで見ていたかったけど。 「え?ちょっと、美里!?」 「ねぇ、いいの?あの人…」 佇む和也をその場に残して私は車椅子を操る。 「うん」 会場近くまで行くと、スタッフさんが案内してくれた。