「それと!私のことは、佳代(かよ)でいいからね!
あと、キッチンもお風呂もリビングも、ほんとに自由に使って大丈夫だからねっ」




「佳代さん…ありがとうございます!」


「葵ちゃん、昔の事だから、わたし達のこ とも覚えてるわけないわよね」


佳代さんが笑いながら言う。



「はい…あまり記憶には…」



「そうよね…実はこの家…」


佳代さんが何か言おうとした時…



『バタンっ!』



玄関から勢いよくドアが開く音が聞こえる。


「ん?このスーツケースに靴、誰のだよ」



そして、低く聞こえる声。


「ちょうど良かった」


佳代さんが呟いて、その声の主らしき人の名前を呼んだ。




「大輝ー!ちょっと来て!」



「あー?」