きっとまだ、みんな起きてないだろから、こんな髪でも大丈夫よね。



リビングのドアを開けると、そこには佳代さんではなく、恭介がいた。


「きょ、恭介…」



その声に気づき恭介が私を見る。



「よぉ」


軽く手を振ってきた。



「お、おはよ…」



なんだかぎこちなくて、その場から逃げるようにキッチンへ行った。



その奥に確か…佳代さんの部屋があったと思ったんだけど…


『コンコン』

「佳代さん、葵です。聞きたいことがあるんですが…」


しーん…



応答なし。



あれ?部屋間違えた?


でも、ドアの前には名前プレートがかかってて、『Kayo』って書いてあるのに…


「あ、もしかして…」


私がつぶやいた瞬間


「あいつなら、今朝実家に帰ったぜ?」



リビングから聞こえる声。


「そ、そうなの…じゃー聞けないか…」


私は仕方なく諦めて、リビングを出ようとドアに手かけた瞬間



『ドンっ』


左から音がする。


見るとそこにはたくましい腕が、私がドアから出るのを静止した。