始業式もやっと終わり、私は一目散に田中という男の子の元へ向かった。

どこだろう…

そう思った時、友達と笑いながら話している田中くんを見つけた。

「田中くん!!!」

「んぁ?」

いかにも不機嫌そうな顔をされたが、隣の席の人だ。と思ったらしく、不機嫌そうな顔は一変、ニヤニヤと笑いながら喋ってきた。

「どうしたの?なんか用事?」

「そうなの…少し2人で話したくて…」

田中くんの周りにいた男子は、お邪魔か…という目で私と田中くんを見てからどこか行ってしまった。

2人になったら、田中くんが…


「んで?なに?さっきの言葉のこと?笑」

やっぱり…聞いてたんだ…

「うん、その事言わないで欲しいの。誰にも。」

すると田中くんは笑いながら、

「言わねーし笑」

と言ってきた。

良かった…と胸をなでおろした。

「まぁ、びっくりしたし面白いなーとは思ったけどねー笑あ!俺、田中司(たなかつかさ)っていうんだ。よろしくな!!!」

田中くん…割とフレンドリーな人なんだな…。

「よろしく!私は中山夏菜っていいます!!1年間よろしくね」

「おぅ!」

田中くんはニカッと笑いながら、さっき話していた友達のところへ走って行ってしまった。
田中くんも悪い人じゃなさそうだなー…。
この1年間楽しいかもな…。

そう思ったら、自然と口から笑みがこぼれた。

_______教室_______

自分の席について、ゆっくりしよう。
そう思って教室に入っていった。
3年B組は、他のクラスに比べてとても騒がしかった。


「なっつー!!」


葵が声をかけてきた。葵の傍には、中学1年生の時に一緒のクラスで、仲の良かった桑原可南子(くわはらかなこ)と、女子のリーダー的存在で、不良の川井杏(かわいあん)がいた。可南子は仲の良くとても好きなのだが、杏はあまり好きではなくて、できれば関わりたくない存在だった。


すると、杏が私に声をかけてきた。
「夏菜も一緒なんや!!」

「そうそう!!杏と一緒とか嬉しすぎるよ!!」

上辺だけの言葉と表情を並べた。

「可南子はー?笑」

可南子は笑いながら言ってきた。

「嬉しいのは当たり前でしょ笑」

そうして、私との挨拶が終わると葵と杏と可南子が喋り始めた。

なんとなく、その時疎外感を感じた。