そんなこと思っていると担任の先生が来た。
うゎ…そう思ったのは私だけだろうか?

「ここ、3年B組の担任になった米倉直樹(よねくらなおき)です。宜しくお願い致します。」

米倉直樹先生。私が2年生の時の担任である。とてもかしこまって物事を言う、世間一般的にはいい先生、礼儀正しい先生というのだろう。だが、私はあまり好んでいる先生ではなかった。いつも生徒の顔色伺って、話をしているような気がして…。なんだか、気持ち悪かった。

「これから、共に生活していく上でー……」

しかも米倉先生の話は長いので、話も全く聞いていない。
はぁー…憂鬱。
そう思ったのも、束の間。
斜め前に戸嶋くんがいたのだ。主席番号が偶然近くだったらしく、斜め前に座っていた。
後ろ姿も凛々しくて、すごくかっこいいと純粋に思った。

「かっこいいな……」

はっと思っても、時すでに遅し。
隣の男子が、目を見開いてガン見してきたのだ。
私の人生終わった…泣

そう思った瞬間、米倉先生の話も終わった。
隣の男子はニヤニヤしながら、こちらを見てきた。


完全にバレた…


制服のネームには田中と書いてあった。
田中くんか…口止めしなきゃ…


始まりの春も、忙しくなりそうだ