俺は、カウンターの下から、修理伝票を出した。靴の修理を受け付ける時は、この伝票に名前と連絡先を書いてもらうことになっている。
「あの、靴の修理ですが、とりあえず、これに記入してもらって、出来上がったら、書いてもらった連絡先に連絡しますので、電話があったら取りに来てください」
俺は、いつもと同じように、もう、俺の口に張り付いてしまっている説明をする。
そのとき、はじめて、彼女の顔を見て、俺は思わず固まってしまう。
美しい人だった。まるで、設計図をみて作ったのではないかと思ってしまうほど、その顔は整っていて、俺は、次の言葉を失う。しばしの沈黙。それを破ったのは、彼女の方だった。
「いつ頃・・・ですか?」
不安そうな、哀しそうな表情を浮かべて、俺に問いかける。俺は、どうして、彼女が突然悲しそうな顔をするのか分からなくて、一瞬、言葉を失いかけた。
「3日か4日くらいで出来ますよ」
努めて明るく言う。
「そう・・・ですか。わかりました。じゃあ、よろしくおねがいします」
そう言って、彼女はペコリと頭を下げた。
「じゃあ、今日は、代わりの靴をお貸ししますよ。サイズは?」
彼女が裸足だったことを思い出して、俺は、彼女に質問した。
「21.5センチです」
ずいぶんと、小さい足だと思った。21.5という数字を聞いて、俺の脳裏に、ある人物の姿がよみがえる。
俺は、突然襲ってきた、感情の嵐を振り切るように、目をぎゅっとつぶり、 唇をかんで、貸し出し用の靴の棚まで行った。21.5センチの地味なパンプスを手に取り、戻って彼女に差し出した。
「それから、これも」
パンプスを履いている彼女に、傘を差し出す。俺は、この上に住んでいるから、傘はいらないのだ。
「あの、靴の修理ですが、とりあえず、これに記入してもらって、出来上がったら、書いてもらった連絡先に連絡しますので、電話があったら取りに来てください」
俺は、いつもと同じように、もう、俺の口に張り付いてしまっている説明をする。
そのとき、はじめて、彼女の顔を見て、俺は思わず固まってしまう。
美しい人だった。まるで、設計図をみて作ったのではないかと思ってしまうほど、その顔は整っていて、俺は、次の言葉を失う。しばしの沈黙。それを破ったのは、彼女の方だった。
「いつ頃・・・ですか?」
不安そうな、哀しそうな表情を浮かべて、俺に問いかける。俺は、どうして、彼女が突然悲しそうな顔をするのか分からなくて、一瞬、言葉を失いかけた。
「3日か4日くらいで出来ますよ」
努めて明るく言う。
「そう・・・ですか。わかりました。じゃあ、よろしくおねがいします」
そう言って、彼女はペコリと頭を下げた。
「じゃあ、今日は、代わりの靴をお貸ししますよ。サイズは?」
彼女が裸足だったことを思い出して、俺は、彼女に質問した。
「21.5センチです」
ずいぶんと、小さい足だと思った。21.5という数字を聞いて、俺の脳裏に、ある人物の姿がよみがえる。
俺は、突然襲ってきた、感情の嵐を振り切るように、目をぎゅっとつぶり、 唇をかんで、貸し出し用の靴の棚まで行った。21.5センチの地味なパンプスを手に取り、戻って彼女に差し出した。
「それから、これも」
パンプスを履いている彼女に、傘を差し出す。俺は、この上に住んでいるから、傘はいらないのだ。

