追われるより、追う方が有利だ。
俺は5人の少し後を追った。
風下になっていたし、相手は草を薙ぎ倒しながら進んで行く奴等は俺の足音なんて、聞いていないだろう。
視覚だけに頼るな。
五感の全てをフルに使うこと。
暫く宛もなく進んでいた奴等は、更に2手に別れた。
俺は2人組の方へ狙いを定めて進んだ。
さぁ。始めよう。
俺は
後ろを歩いている体格の小さい奴の口を塞ぎ、足で膝の後ろを踏みつけ動きを塞ぎながら倒れさせ、素早く藪に引きずり込み眉間にペイント弾を撃った。
ピーピー!!
音がなる前に俺はその場から離れた。
前を歩いてた太った男は驚き何かを叫んで狼狽えていた。
恐らく単独行動をあまりしてなさそうだった。
太った男が音の方へ向かおうと俺に背中を見せた!
俺は藪から立ち上がり、背中の真ん中を撃った。
ピーピー!!
男が振り返った。
俺は男の眉間に1発撃ち込んだ。
ペイント弾が眉間に当たり弾けた…。
男はまるでスローモーションの様にゆっくり倒れた。
俺は暫くその場に立っていた。
と言うより、動けなかった。
これがもし、本物の銃なら俺は人を殺したことになる。
ペイント弾と認識していたから、躊躇無く撃てた。
Twinsって言う奴等は本当になんの感情も抱かずに人を殺せるんだ…。
俺は背中に冷たいものが走った…。
バシッ!!
俺の直ぐ近くの幹に赤いペイント弾が弾けた!!
『この野郎!!』
同時に罵声が届いた。
ヤバイ。3人組が音を聞き付けてやって来たんだ。
俺は藪に飛び込んだ。
『逃げても無駄だ!!出てこい!』
男が叫んだ。
俺は藪の中を音を立てずに太い木の幹の所まで進んだ。
叫んだ男の真横の位置についた。
幹の陰から男を見る。
神経質そうな細いが鋭そうな感じがした。
『居たのか?』
俺は素早く幹の陰に隠れた。
2人が遅れて男の側に駆け寄ってきた。
『あぁ。居た。あの女のチームの奴だった。』
それを聞いた男達は歓喜の雄叫びを上げた。
『やったじゃん!奴等ならあの女じゃなくても、ソコソコ点数は稼げるからな。』
しかし、細身の男は身構えたまま辺りを見回しながら言った。
『あぁ。でも、こっちも痛手を負ってる。2人ヤられた。まだ、側に居る。絶対仕止めるんだ。』
3人は各々背中をつけて、辺りをユックリ警戒しながら、見ている。
俺はキャットから渡されたペイント爆弾を取り出した。
3人にこれを使うのはマズイ。
どうすれば良いんだ…。
奴等の気配を感じつつ、俺は頭をフル回転させて考えた。
俺なりのやり方がある筈だ。
冷静に考えろ。



