服に着替えるためにベッドルームに向かうと、碧さんが俺に付いてきた。
そして、ドアに寄り掛かり、俺の着替えているのをジッと見つめていた。


俺は身支度を終えた時、碧さんが口を開いた。
『分かったわ。もう、止めない。だけど、スタジオはキャンセルして。』


俺は聞き返した。
『何で?』

碧さんは答えた。
『どうせなら、私の蠍を彫ってくれた人の所で彫って貰った方が良いでしょ?』


俺はスタジオの番号に連絡をしてキャンセルした。



今度は碧さんが電話をかけた。
流暢な英語で何か相手と話している。


俺はベッドの端に座って碧さんを見ていた。


碧さんが電話を切って俺に言った。
『3日後に来るから。彫ってもらうと良いわ。』


『マジで!!』
俺は嬉しくなった。


碧さんは真剣な顔で俺に確認した。
『本当に後悔しない?』


俺は碧さんの首に腕をかけてキスをして言った。
『後悔しない。』


碧さんは困惑しながらも笑みを浮かべて俺の頭をくしゃっと撫でた。



『私は店の準備をするわ。
何時までも休んでいられないからね。
和樹はどうするの?』


俺は返事をした。
『今日は帰らないとな。連絡する。』


碧さんは笑って答えた。
『分かったわ。じゃあね。鍵を閉めていって。その鍵はそのまま和樹が持ってて。』


俺は鍵にキスをした。


そしたら、碧さんは俺の顔のほんの数センチ近くまで近付いて言った。

『私の名前は碧子よ。』


俺は碧さんを見つめながら答えた。
『分かった。碧子。』


碧子はニッコリ笑った。