暫くして玄関のチャイムが鳴った。
俺は玄関を開けると、修利だった。

『お前のおかげであれからオフクロなだめんの大変だったんだぞ!!』
修利はムッとしていた。


俺は笑って入れよと言うと、修利はお邪魔します。と言って、俺の部屋に向かった。


俺は冷蔵庫から冷えたジュースを2本取り出し自分の部屋に行った。


修利は同じ黒い巾着から緑色の雫型のピアスを取り出した。

『これ、どうする?』

俺はベッドに腰かけて答えた。
『俺は受け取って着けることにしてる。
お前は?』

修利は暫く眺めてから答えた。
『そうだよな…。着けていた方が良いな。
それなら、話が早い方がいい。』


修利はスマホを取り出すと何処かに電話をかけた。

『絵梨佳?久しぶり。帰ってきたよ。そんで、急で悪いんだけど、ピアッシング頼めるか?』

電話口で何かを言っている絵梨佳の声がした。

『分かった。悪いな。じゃあ、今から和樹と行くわ。んじゃあ後で。』

修利は電話を切ると俺に言った。

『和樹。支度しろ。絵梨佳の知り合いの店でピアッシングしてくれるってよ。』

俺は返事をして着替えた。


俺と修利はバイクで渋谷の絵梨佳の知り合いのピアススタジオに向かった。
街のざわめきに夏休みでゴッタ返す渋谷の街。
まるで別世界の様に感じた。

スタジオの出入り口の所に絵梨佳が立っていた。
相変わらず、際どい格好をしているが、
修利を見つけると、絵梨佳は修利の所に走って修利に抱きついた。

『おかえり。』

修利は絵梨佳の髪を優しく撫でながら答えた。
『ただいま。』

俺はバイクを停めて。先にスタジオに向かった。
2階にあるスタジオの階段の壁にはtattoo写真が所狭しと貼り付けられていた。
ゆっくりと見ながら上ると、1枚のtattooが目に留まった。

俺はその写真を剥がしてスタジオに向かった。
入り口の扉には
【Close】の札がぶら下がっていたが、鍵が開いていたので、入った。
『こんにちは。絵梨佳の友達の和樹です。』

声をかけると奥から全身にtattooを彫った男が出てきた。

『話は絵梨佳から聞いてるよ。ピアッシングでいいのかな?』

男は見かけと違い人当たりのいい口調で明るく言った。

俺はさっきのtattooの写真を見せて答えた。
『ピアッシングと俺にこれと似たようなのを彫って欲しいんですけど…。』

男は写真を手に取ると答えた。
『うん。分かった。同じものは彫らないから、デザインを一緒に考えてから彫ろうか。何処に彫りたいの?』