gardenquartz 小さな楽園

『ジョナサン…。アンタの気持ちが私には理解できる。でも、私は仲間を失った。それをどうしても許せない。』


そう言うとジョナサンに向かってナイフを振り下ろした。
ジョナサンはスルリと避けてキャットの手首を掴みねじった。
キャットは足を思いっきり後ろのジョナサンに向けて蹴った。


しかし、ジョナサンはキャットのナイフを素早く奪い、キャットの足首目掛けてナイフを振り下ろした。

次の瞬間、キャットは足首を両手で掴み床に転がり悲痛な声を上げた。ジョナサンはキャットのアキレス腱を切ったのだ。


苦痛に呻くキャットを見下ろしジョナサンはキャットの血の付いたナイフを眺めていた。
その表情は何の感情も無かった。


その一瞬の隙を見て、ディーンがジョナサンに襲いかかった。
ジョナサンは持っていたキャットのナイフをディーンに向けた、ディーンは自分のナイフでそれを力で弾き飛ばした。


ジョナサンは数歩後ろに下がり、笑みを浮かべ言った。
『君は相変わらず、強いな。あの頃の私達の日々を君は覚えているかい？』


ディーンはジョナサンを見つめながら叫んだ。
『アルフレッド!！キャットを頼む!！』


アルフレッドと修利はキャットの側に行き、キャットを抱き抱えてジョナサン達から離れた。

ディーンはニヤリとジョナサンに笑い言った。
『あぁ。覚えているよ。
よく覚えている。お前は何時も俺より何でも出来てた。あの頃、俺は何でも出来るお前を羨ましかった。
どうして、こんなことになっちまったんだ？ジョナサン。』


ジョナサンはフッと作り笑いじゃない淋しそうな笑みを初めてディーンに向けて言った。

『変わってしまったんだよ。何もかも…。私はもう人間では無いんだよ…。人の姿をした悪魔だ。
時間は残酷に過ぎて行く。楽しければ楽しいほど容赦無く、過ぎて行く。
ディーン…、もうあの頃の私では無いんだよ。』


ディーンはジョナサンを見つめていた。
ジョナサンもディーンを見つめていた。


二人の間に時間の残酷な別れ道の成れの果てを感じていた。




碧子が和樹の耳元で囁いた。