gardenquartz 小さな楽園

ディーンは２階の爆発音を聞きながら、顔をニヤつかせていた。
アルフィのヤツ、久しぶりの外ではしゃいでいるな。

さてと、俺はジョナサンと決着をつけに行かなきゃな…。
アルフィには悪いが、俺一人でジョナサンを殺らして貰うとするか…。
モニター室の手前まで来たときに、扉が突然開きこめかみに銃を突き付けられた。

『こっちに来てもらうよ。』

女の声だ。
ディーンは扉の中に消えた。


キャットは備品室にSPを引き入れて、カードキーを奪うことにしたのだ。
それがディーンとは知らずに。


『おい！俺だよ。』
ディーンは扉を閉めたのを確かめて、キャットに言った。

声を聞いたキャットは驚いて銃を下ろした。
和樹もまさか、ディーンだとは知らなかったので驚いた様子だった。
ディーンはサングラスを外して顔をキャットの側にズイッと向けた。

キャットは慌てて
『ごめーん。』と笑った。


和樹はディーンの顔を見て言った。
『そのツラどうしたの？』

ディーンは今までの事を手短に話した。
アルフレッドの事も…。
そして、侵入者が誰なのかは分からないと言った。


その時、和樹とキャットは顔を見合わせた。
ディーンが聞いた。
『侵入者が誰か知っているのか？』


和樹が口を開いた。
『アァ。知ってる。アーサーとマーニーのオリジナルでマリアって女の人だった。』


ディーンは聞き返した。
『オリジナル？』


キャットが静かに言った。
『アーサーとマーニーはクローンだったの。マリアは二人を始末するためにこの島に侵入して、まだ生きていたアーサーを道連れにして死んだわ…。』


ディーンは小さく呟いた。
『そうか……。』


キャットは話を変えた。
『それで、ディーン。あなたカードキー持ってるわよね？』


ディーンはさらっと言った。
『持ってるが、渡さない。』


キャットが睨んで聞いた。
『どう言うことよ。渡さないって？』

ディーンも譲らない。
『そうだ。ここからは俺一人で行くから、お前らはここから逃げろ。』


キャットはギラギラした目をしてディーンに噛みついた。
『ふざけるんじゃないわよ！アンタ一人で殺らせるわけ無いでしょ？！』



和樹が言った。
『ディーン。アンタ初めから一人で殺るつもりだったかも知れないけど、もう、俺等は深いところ迄かかわっちまったんだよ。』

ディーンは溜め息をついた。
確かに、和樹の言う通りだ。ただのゲームだった筈なのに、ジョナサンが碧子を欲しがった為にとんだとばっちりを受けたのは和樹達だ。


しかも、アルフィ迄関わってきた。
俺一人の問題では無くなってきていることはよく分かっている。
しかし、俺とジョナサンの長い腐れ縁に終止符を打つのは、俺一人でいい。


３人は黙ったまま動けずに居た。


沈黙を破ったのは和樹だった。
『なぁ。ディーン。俺は初めただのゲームでこの島に来たのは確かだ。
けど、このゲームを仕切っているジョナサンは碧さんを欲しがった。
それで、ゲームはただのゲームじゃなくなった。
アンタは碧さんの為だと言ったけど、実は他に何かあるんだろ？』



ディーンは和樹を見た。
その顔は驚きと、戸惑いが現れていた。

キャットもディーンのその表情を見逃さなかった。
『ねぇ。何があったのよ。』



ディーンは諦2人の顔を見つめ、観念した表情で話始めた。