アルフレッドはSPに紛れて、部屋のあちこちに爆弾を仕掛けていった。


最初の爆弾は火薬を多めにしたので、廊下まで吹き飛んでしまった。
今度は部屋だけを吹き飛ばすだけにしようと、火薬の量を調節しつつ、SPにここに居たら殺られると触れ回りながら、爆弾を仕掛けた。


SP達は仲間の救出と混乱で収拾がつかなくなってきている。


そろそろディーンと合流しようと廊下を混乱に紛れて、移動しようとした時だった。
肩に何かが落ちてきた。
アルフレッドは肩に手を置き落ちたものを確かめた。
指先が赤い。血だ。
アルフレッドは上を向いた。しかし、何も無い…。



否…。天井の継ぎ目から僅かに血がまた落ちた。
誰かが天井の中に居る!!


アルフレッドは爆弾の仕掛けていない部屋に入り。鍵をかけ、通気口を抉じ開け、静かに入っていった。


通気口の中を用心深く進んで行くと、血の滴った所に人の気配がある、ゆっくり顔を出して様子を見た。


女と男が居た。


アルフレッドは女が碧子だと直ぐに分かった。
男の方はよく見えない。
目を凝らすと…。
自分に似ている…?


『ノブトシ?』
アルフレッドは思わず名前を言ってしまった。


修利は直ぐに反応して、声を殺して言った。
『誰だ?』


アルフレッドは2人に近付きながら言った。

『俺はディーンの仲間だ安心しろ。アルフレッドだ。』

男の方が驚いた顔をして言った。
『オヤジか?』


アルフレッドは2人の側に辿り着き嬉しさを圧し殺して言った。
『アァ!!ノブトシか!!こっちは碧子だね?』


修利は混乱と驚きと、嬉しさと感情が込み上げてきたが、碧子が顔を歪ませたのを見て、アルフレッドに言った。
『オヤジ。爆発で怪我をした。助けて欲しい。』

アルフレッドは碧子の体をざっと見て答えた。
『OK。任せろ。俺は碧子を運ぶからお前は俺に着いてこい。いいな?』


『アァ。分かった。』


アルフレッドは碧子の脇を抱え静かに移動させた。
途中で何回か爆発音が鳴った。

『オヤジがヤったのか?』
修利は聞いた。

アルフレッドはすまなそうに答えた。
『そうだ。すまん…。まさかお前達がこんなところに居るなんて思わなかったからな。俺について来れば大丈夫だ。』


アルフレッドはさっきの部屋に戻り、碧子をソッと部屋に下ろし、修利は自分で降りた。


アルフレッドは降り立った修利をマジマジと見つめると、力強く抱き締めた。