アルフレッド・ショーン。
修利の父親だ。

ディーンは口をモゴモゴさせた。
アルフィは口に指をつけて静かにしろとジェスチャーした。


アルフィは部屋の中を隈無く探して盗聴器をカーテンの隙間から取り出し、ディーンの前にぶら下げた。

ディーンは頷いた。


アルフィは盗聴器を壁際のテーブルに静かに置くと、ディーンの縄をナイフで切った。


二人はソッと扉に張り付いた。
アルフィが先に外に出て様子を伺った。
みんな、騒ぎでバタバタしており、誰も気づいていない。


アルフィはディーンを手招きで外に呼び、2人は廊下を横切り、手頃な部屋に入った。


2人は部屋の中を調べ、盗聴器等が無いと分かると、ディーンがアルフィに捲し立てた。

『何でお前がここにいる?どうやって出てこれたんだ?何故出れたんだ?何で俺がここに居ると分かった?お前……。』


アルフィはディーンの口を手で塞いで、ゆっくり言った。

『お前が言いたいことは分かるが、ちょっと落ち着けよ。いいか。質問は1つしたら、俺が答えるから答えを待て。良いな?』


ディーンは頷いた。

アルフィはユックリ手を離した。

『アルフィ。何でお前がここにいるんだ?』


アルフィは扉を開けて、SPの服を取り出し、ディーンに投げながら答えた。

『命令で来た。』

ディーンは服を受け取ると、着替えながらアルフィに質問した。

『誰の命令だ?』


アルフィはカーテン越しに外の様子を伺いながら答えた。

『軍だ。ジョナサン・バンクを捕らえろと命令された。その任務が果たせたら俺はお役御免で刑期が無くなり、堂々と出れる事になっている。』


着替え終わったディーンは更にアルフィに聞いた。

『その命令は生死を問わずか?』


アルフィはニヤリと笑い言った。

『あぁ。勿論。奴を生きてここから出すような命令を俺が引き受けると思うか?』


アルフィはSPの着けるサングラスをディーンに投げた。


ディーンはサングラスをかけなから言った。

『お前の息子に会ったぞ。』


アルフィは少し驚いてディーンに聞いた。
『ノブトシに会ったのか?どうだ?俺の大切な息子は元気か?』


ディーンは身支度を終えて答えた。
『お前に似てるぞ。元気かどうかはお前が本人に聞け。』


2人は声無く笑った。

ディーンがアルフィに聞いた。
『状況は?』


アルフィは真剣な顔付きになって答えた。

『俺は初めからSPで潜入していた。
そして、お前が途中からSPに化けていたのをジョナサンは気付いて泳がせていたんだぞ。この間抜け。』


ディーンはアルフィの肩を軽くパンチした。

アルフィは話を続けた。

『途中からゲームはTwinsによって、本物の殺し合いになった。
しかし、島に侵入者があって、ソイツが島の監視カメラを壊しながら動き回ってる。ジョナサンはお冠さ。
そのお陰で俺は動きやすくなったけどな。そして、俺はお前を助けてここにいる。
さてと…。これからどうする?』


ディーンは状況を素早く理解してこれからの事を考えながらアルフィに言った。

『碧木達は無事か?』


アルフィはニコリと笑い言った。

『あぁ。みんな今のところ無事だ。只、侵入者がどんな奴かは分からない。ちょっと待て!』

アルフィはインカムを聞いていた。
ディーンはホッとした。
オチビちゃん達は無事だったか…。


アルフィに早く修利を会わせたい。


『了解。』
アルフィはインカムを切って真剣な顔でディーンに言った。


『アーサーの死体を見つけたらしい。侵入者と相討ちだったみたいだ。しかし、カメラは壊されているので、モニター室のジョナサンには映像は送られていることは無いらしい。
碧木達の行方は分からない。
しかし、死亡宣告装置が通知していないので、恐らく生きているとは思う。』



2人は同時に同じことを思った。





碧木達はここに向かっている!!




ディーンとアルフィは同時に溜め息をついた。