『止まって!!』
碧さんが急に声を上げて止まった。
そして、1本の木の幹を見つめた。

キャットが記した暗号を見つけたのだ。
碧さんは木の幹の削られた文字をなぞった。
まだ、湿り気がある。削って間もない証拠だ。

碧さんはインカムに話しかけた。
『キャット!修利!聞こえる?』



キャットと修利は同時に碧木の声を聞いて、心からホッとした。
そして、応答した。
『こちらキャット。今、爆発のあった洞窟の前に居るわ。直ぐ来て。』


『分かったわ。向かうから動かないで、待ってて。』


碧さんは話終わると俺を見た。
俺は頷いて、キャット達が待っている場所に向かって走った。

走りながら、碧さんが俺に言った。

『ジョナサンが直に放送したとなると、恐らく残っているメンバーは私達のチームとアーサーだけだと思う。

和樹には悪いけれど、これからは実弾を使うことになるわ。

でも、私は全力で貴方達を守るから!!約束するわ!こんな事になってごめんなさい。』


俺は返事をしなかった。
ゲームに参加したことを後悔しては無かった。
俺はもう、とっくに覚悟をしていたから。

【俺が、皆を守りたいと思ったから。】


森が急に切れて陽の光の中に出た。
崩れた洞窟の前にキャットと修利が居た。


キャットはどうにかして岩を退かそうとしていて、修利は見張りをしていた。


修利を見て、こんなに喜んだ事が無かった。
ホンの少しの間離れていただけだった筈なのに…。



生きている事がこんなにも嬉しいと思った事は無かった。



俺は生きてる。



実感している。生きていることに。そして、仲間が生きていることに…。