アーサーは無表情で、外に出ると雨は上がっていた。
アーサーの靴が雨を含んだ土に少し沈んだ。
アーサーは僅かに眉間にシワを寄せると、インカムに話しかけた。

『ジョナサン。靴が汚れた。すまないけれど、ブーツを寄越してくれないか?』


インカムから返事が来た。
『分かった。マーニーはどうした?爆発音の音の後に、生命反応装置が消えたが…。』


アーサーは無表情で答えた。
『あぁ。マーニーは死んだよ。大した事じゃない。それよりブーツを早くして欲しい。』


『分かった。』
そして、通信はアーサーから切った。


ジョナサンはソファに座り葉巻を取り出した。
付き人がつかさず火を着けた。
煙をユックリ吐き出し、立ち昇る煙を眺め思った。

あの兄妹はホントに戦闘をするためだけに生ませられた産物だった。
まぁ、妹の方は手に余った存在だったから、この際片付いて良かったかもしれない。

葉巻の火がチリチリと静かに燃えていた。



その頃、爆発音を聞いた碧木は気になったが、和樹が熱を出していたので、身動きが取れなかった。
額に手を置くと、熱は下がったみたいでホッとした。
そして、雨の上がった森を見回した。

今は鬱蒼としていただけでなく、何かが碧木を掻き立てていた。




修利とキャットは爆発音がそう遠くない場所で起こったので、木の幹にナイフで暗号を刻むと、急いで爆発音がした方向に向かった。


キャットの胸に苦いものが込み上げていた。