水川が出ていった後の保健室は、静かでどこか淋しい。




俺は残っていた仕事を始めた。








もう、こんな時間か。


そろそろ、HRも終わって、水川がくる頃だな。






───ガラガラ…

俺はドアに目を移した。


そこにいたのは水川ではなく、1年の女子だった。




『どうした?具合でも悪いのか?』
俺は、先生らしく聞いた。



「…違います。先生‥に‥話があって…」





なんだ…この空気‥
まさか…………






「先生、好きです。付き合って下さい。」


やっぱり…


参ったな…困る……





水川いなくて良かった‥




ん?何で水川のことばかり考えてるんだ?



ふと、廊下のドアに目を向けると人影が見えた。




水川………?



見られたくなかったかも‥










『ありがとう。でも気持ちは受け取れない。』

俺は、生徒を傷つけないようにハッキリ断った。





その子は、
「‥そうですか。ありがとうございます。」

と言い、保健室を出て行った。



はぁ〜……


疲れる。







水川の好きと言う言葉は決して嫌ではない‥むしろ心地いい。





水川…水川……
あっ!見られてたんだ!



俺は、廊下の影に隠れている人影に声をかけた。