「え、ねえ、ホントに良いの?これでも私、彼女だよ?そして彼女の実家だよ?」

「この歳して遊びで付き合ってられるかよ」

ああ、こいつは本当にばかにしている、そう思いながら煎れたばかりのコーヒーを一口含む

「そう、だけど。…なんか、意外。海斗って実は、本当に実はちゃんと私のこと考えてくれてるよね」

「意外で悪かったな」

同時に、そんなにわかりにくいだろうか、自分の愛情表現は、と

日々をそっと振り返る

「今は慣れたけど、海斗の愛情表現はストレートコース来ないもんね」

でも、わかってしまうと逆にそのわかりにくさがうれしくて、とても安心できるなんて言ってはやらない

「変化球のしるふに言われたくはないな」

「それは海斗がそう言ってるだけで、私は至って普通のはずだよ」

海斗のほうが変化球だと思うんだけどなー

くるくると薬指にはまった指輪をいじりながらのつぶやきに

「そんなに文句ばっかりたれてると行ってやらないぞ、実家」

二つのマグカップをソファの前のテーブルに置いてから険吞な瞳をしるふに向ける

「前言撤回!!海斗は彼氏として最高です!!とってもわかりやすくて、ホント海斗が彼氏でよかったって日々実感してます!!」

ぱたぱたと駆け寄ってくるしるふのスリッパの音が響く