あの時とこれからの日常

次の日

食堂でちょっと遅めの昼食を食べていると

カタンと音がして隣に食事の乗ったトレイが置かれる

「ここ、いい?」

トレイを置いた時点で座る気満々だろう、と思いながらどうぞ、と視線を投げる

「聞いたわよー。立花先生に膨大な宿題出したって?」

あんまりいじめちゃだめよ

皿にのったフライを箸できれいに切り分けながら神宮寺が、隣の海斗に特に怒るわけでもなく言ってきた

「いじめてませんよ。あれくらいで折れるようならその程度だったんです」

そんなの救命じゃやってけませんよ

静かに食事を進める海斗の横顔を、ふと眺める

海斗を特別視しない、海斗が医者でいたいと思う医局を作る

それが神宮寺のこの業界での最後の使命だと思っている

それを実現するためにしるふを見つけて、連れてきた

海斗を前にしても目の色一つ変えず、

たとえ医院長の息子だと知ってもその態度を変えない

そして人助けることに人一倍強い思いがあるから