ピーとタイマー音が響いて、オーブンが時間を知らせる

お、焼けた

とつぶやきながらキッチンへ向かうしるふの背を小さく微笑みながら見送った海斗は、

そっと再びピアノの上に手をやる

一瞬の間の後に奏でられる和音

あ、カノンだー

私、海斗の弾くカノン好きだよ

オーブンからシフォンケーキを取り出しながらしるふがしゃべっている

開けられた窓から入る風が心地いい休日




それからのとある休日…

「海斗ー、今日はこれ弾いてー」

すっかり海斗に好きな曲を弾かせることを覚えたしるふが、うれしそうにリビングに入ってくる

もちろんCD付きだ

「…金取るぞ、お前…」

ため息をつきながらあきれ交じりにつぶやいた、決して本気ではない海斗の声が広い室内に響いた…

















とある休日   完