「んー」

腰に手を当てて部屋をぐるりと見渡すしるふに

「どうした」

背後からそう問う

「ん、浮気の気配ないかなーと思ってさ」

ほらよくあるじゃない。突然訪問したら真っ最中だったとか

「とっても洒落にならないな」

悪戯をかみ殺しもせず、部屋を探索するしるふを眺める

「なんだ。何も出てこないか」

言葉と裏腹に全く残念がっていないことがありありと伝わってきた

「ご飯、食べる?」

朝兼昼となりそうな時間だけど

部屋の中央にあるテーブルに持っていた袋を置いて、くるりと海斗を振り返る

「いや、もう少ししてからでいいよ」

寝起き過ぎて食べる気がしない

それより、

ベットに腰かけたしるふの向かい側に立つ海斗を久々のブラウンの瞳が見上げてくる

「どうしたんだ、急に」

連絡もなしに来るから宅配かと思った

と言いながら、誰が出張先の仮住まいに荷物を送るのか、と今なら思う

「んー、たまにはいいかなと思って」

こういうの

こういうの?

不思議そうに首を傾げる海斗に