「……しるふ?」

視界に飛び込んできた姿に眠気何て吹っ飛んでしまう

「おはよう、海斗」

「…おは、よう。どうしたんだ」

にっこりと笑みを向けるしるふに、海斗が瞳を瞬かせる

「ん。突撃隣の晩御飯?」

と言って手に持っていたビニール袋を持ち上げる

「何が隣の晩御飯だ。ここ、どこだと思って」

突っ込むべきはそこだろうか

「もちろん、黒崎病院から新幹線で二時間、さらに私鉄に乗り換えて30分の海斗の出張先」

「休み、なのか」

「そうだよ。だから来てみた」

それよりさ、

「そろそろ中に入れてくれないかな」

言われて、未だに自分たちが玄関先だったことに気が付く

「ああ、悪い」

すっかり眠気の冷めた頭でも追いつけない状況らしい

「お邪魔しまーす」

踏み入れた海斗の部屋は、出張先の寮ということもあって間取りはいささか古めかしい

部屋には、荷物の入ったボストンバックが一つ置かれているだけで、

備え付けの棚には何も入っていない