あの時とこれからの日常

「私さー、たぶん結構面倒くさい女なんだよね」

自分で言うのもあれだけどー

へへへっと笑うしるふの表情はどこか吹っ切れた様に明るい

「知ってる」

すっと視線が交差する

「しるふは、意地っ張りで強情でわがままで寂しがり屋で、そのくせ泣き虫のどうしようもない奴だから」

でも

「それでも大切だって想うのは、しるふ一人だから、そばにいて笑っていて欲しいって思う」

こんな風に穏やかな雰囲気が流れたこと、今まであったかな

「それにしるふが言うほど、俺は大人じゃあない。この年になって日々一人の女に振り回されるなんて思わなかった」

苦笑する海斗はそれでもそんな日常を楽しんでいるはず

「私、海斗のこと振り回してないけど」

「そういう無自覚なところに日々振り回される」

「…たとえば?」

くるくると海斗との日常を思い返してみたけれど、振り回している実感の湧かないしるふは、首をかしげる

「たとえば、…しるふが俺のそばで笑っていられないなら、潔く別れた方がいいのかもしれない、そう一か月前に思った。でも、どうしてもそばにいてほしいって思う。どうすればしるふが言いたいことを言えるようになるのか、つらい時につらいって言ってきてくれるようになるのか、結構考えてた」