あの時とこれからの日常

「っおっと。…ほえ?」

積み上げた本がぐらついて体勢を崩しそうになっていると

突然ふわっと腕にかかっていた重さが軽くなる

「海斗…!」

ぐっとタイミング!!

開けた視界に映る数冊の本を持った海斗に歓喜の声を上げる

「こんなに積み上げて…。持っていけるわけないだろう」

まったく

そういいながらも海斗は手伝ってくれるようだ

「一回で行けるかなーと思ったんだけど、やっぱり無理かな?」

ありがとう、そう前置きしてからへへへと笑う

心境としては、手が空いていたら頭をかいていた

やっぱりなんだかんだで優しい奴なんだよなー

二人で並んで倉庫に向かいながらしるふは、そっと海斗を盗み見る

流れる沈黙もこうしていると別に、何かしゃべらなきゃとか何か話しかけてくれないかなとか思わない

こうやって二人でいられること、それだけでいいような気がしてきた

もちろん、話をすることも大切だけど、沈黙にすら安らぎを覚えるくらい相手を近くに感じられたら、それはきっともっともっと大切なこと

こうなりたい、そういう理想ばかり追いかけて、今、自分たちがどうしているのかを見失っていたのかもしれない

思い立って明日実現するなんて無理に等しい

なのに焦ってばかりで、海斗から向けられる瞳もそこに込められた気持ちも理解しようとしていなかった

まだ一年、もう一年だけど、でも、ゆっくりでいいんだと思う

小さなことを二人で乗り越えていければ、きっといつか胸を張って隣に居られるはず