あの時とこれからの日常

「何」

じーと見つめてくるだけで一向に用件を言わないしるふに、海斗が静かに問う

「…いや、目は口ほどにものを言うって本当だなって思って」

「は?」

怪訝そうに眉を寄せる海斗にふふっと笑いかけ、しるふは勢いよく海斗の手を掴んで歩き出す

「ほら、帰ろう」

「おい…しるふ?」

珍しく困惑した海斗の声を聞きながら、テンポよく快活に歩を進める

なんだ、簡単だったじゃないか

何も難しいことなんてなかったんだ

ただ、気が付かなかっただけ

ちゃんと見ていなかっただけ

言葉がないと不安だとか思っても、はっきりとした態度で示してくれなくても呼びかけひとつでわかってしまうこともある

もう少しいろいろ見てみよう

前向きにそう思ったしるふは、ふときれいな夕日を見上げた