「連絡してみればいいのにさ」

目の前でぐつぐつ煮える豆乳鍋に豚肉を放り込む

「だって…」

いい感じに肉に絡んだゴマダレがおいしい

「だからさー、さっさと黒崎先生となんて別れちゃえばいいのよ」

なんで付き合ってんの

わけわかんないわ、そうつぶやいて向かいの飯田莉彩は眉を寄せる

「好きだから?」

「こんなに不安にさせられて?まだ好きなわけ?物好きにもほどがあるっての」

ここまで来るとただの意地なんじゃないの

「こんなにいろいろ心配してると、そのうちどっかーん、って爆発するんだから」

「一回爆発してみたほういいかなー」

空になった皿を空いているところに重ねながらしるふが、しみじみと相槌を打つ

「そうね。それでもう無理だと思ったら、別れなよ。そしたらほかの男紹介してあげる」

「それは、どうもありがとう」

そのうち一回くらいためしに紹介されても良いかもしれない

「黒崎先生と付き合ってどん位だっけ」

鍋の中の具材を自分さらにとりわけながら、ふと飯田が湯気越しに視線を投げかけてくる