「ふー」

日が暮れた医局

中央に置かれたソファに座ってひとり息をつく

手に握られているのは薄い携帯

着信と新着メールをチェックして、そこに海斗の名前がないことに少し落胆する

海斗が出張に行って一週間

海斗からの連絡は、無事着いた、という当日の連絡以来来ていない

忙しいのかな、といろいろ理由を考えて一週間待った

こちらから連絡をしてみようかとも思った

でも、特に内容が思い浮かばず、いつも手が止まってしまう

電話ももし出なかったら、と思うとかけられない

「…連絡位寄こせー、海斗のばかー」

背もたれに寄りかかりながら静かな医局の天井に向かって叫ぶ

海斗と付き合い始めて2年目に突入した

最初のぎくしゃくしたころを通り過ぎ、いい感じに落ち着いてきた、と思っていたのに

またふつふつと不安が膨らむ

「なんで連絡よこさないのよ、もう」

二日くらいの出張なら今までもあった

けれど今回は一か月

二日なら連絡なんて寄こさなくていいけど、一か月は31日だ

普通、電話するでしょう