あの時とこれからの日常

日の当たる窓辺の席

春には桜が舞い、夏はさんさんと太陽が降り注ぐ

一年前から愛用しているその席で食事をしていると、大概海斗が隣にやってくる

もちろん、断りもなしに

それが許される間柄

「今週末って休みだったよな」

唐突に切り出された言葉にこくこくと頷く

「じゃあ、空けといて」

珍しく海斗からのデートのお誘いだ

しばらく海斗の横顔を見つめた後、こっくりと大きく頷く

箸を口に含んだ状態で、そっとにやける頬を慌てて引き締めなければならなかった

そしてもう一つ

今度こそ名前を呼ぼう、と独り心に誓うのだった


その週末

しるふのアパートの前には、海斗の愛車が5分ほど前から止まっている

シルバーの滑らかなボディが太陽の光にあたってまぶしいほどだ

「お待たせしました」

助手席に滑り込んでシートベルトを忘れずに

久々ドライブデートの始まりだ