「いや、今日も絶好調だね桃ちゃん」

ナースステーションにカルテを出そうとしたら、飯田莉彩が苦笑する

「本当にね」

対するしるふが返すのも、苦笑だ

そっと振り返ると海斗と桃が何かを話していた

海斗の言葉に桃がほほを膨らませ、海斗が笑う

「ちゃんと海斗、なんて下の名前読んじゃってるんだもん。名前一つで4か月も引っ張ってるどっかの誰かさんとは、大違いよねー」

「だ、誰だろうね」

頬杖を突きながらの言葉に乾いた笑いしか返せないのは、それが自分だから

「今日こそ呼ぶから!!とか宣言すること早何回?」

「えっと、10回」

数えてる自分にも驚きだけど、未だに実行できてない自分にはもっと驚きだ

たかが名前、されど名前

海斗もしるふの努力は認めてくれているようだけれど、毎回「黒崎先生」と呼ぶたびに

ため息が漏れる

「私さ、たぶん怖いんだよね」

「何が」

「これ以上黒崎先生の存在が大きくなることが」

この一年で誰よりも近くになってしまった彼