「いつまで敬語で話しかけられればいいんだ」

真顔で言われた言葉

「………、やっぱりそう思います、か?」

でも努力はしてます

話しかけるたびに名前で呼んでみよう、と心の中では思っている

思っているだけで結局呼べたことはないけれど

「そう、思わないことの方が大変だと思うけど」

「…ですよね」

はい、頑張ります

どうしてこういう時だけしおらしくて、仕事の時はあんなにかみついてくるのだろうか

足して二で割れたら、きっといい感じにバランスが取れるのだろ思うのだけど

「まあ、一年も待てたんだから話し方一つにどれだけ時間がかかろうと気にならないと思うし、驚かないと思うけど」

そう言って止めていた歩を進める海斗の背に

「だから、誰も待ってくださいなんて言ってないんですけど」

てか、もう少しわかりやすいフォローをしてください

なんてつぶやいてから、面と向かって言えたらいいな、と思うのだ