「ああ」

受け取りながらまだ少し驚いている海斗に

「今日祈たちと公園に行こうと思って、ついでに」

そっと視線を外した後、

「残して来たら怒るからね」

投げやり気味にそう付け加えたしるふに、ふと優しい瞳を返す

この言い方は、照れ隠しか

「わかってる。怒らせると怖いからな、昔から」

「怒らせてるのは海斗ですー。私基本心広いもん」

ふん、と横を向いたしるふの耳に海斗の笑い声が届く

「行ってきます」

笑いながらドアを開ける海斗にふと穏やかな瞳を向けて

「行ってらっしゃい」

その背を見送るのも、もう日常と化した

「ママー!!あさひがー!!」

リビングの方から祈の呼ぶ声が聞こえて、

パタパタと駆けていくしるふの足音を背後に聞きながら

海斗は、そっと微笑んだ