しるふの言葉に海斗がふ、と笑う

「そんなことで惚れ直すなら何度だって惚れ直させてやるさ」

「うん。お願い」

海斗が口元だけで笑う気配がした後、静かに仮眠室のドアが閉まる

しん、と空気が動かなくなったそこで、しるふはそっと瞳を閉じた

これでまたしばらく大丈夫だ

忙しくて帰宅が遅い海斗を思いやれる

ICUで患者と向き合う彼を

処置室で指示を出す彼を

医局でパソコンに向かう彼を

その落ち着いた横顔を

声音を

思い出すことができるのなら、何度だって惚れ直させてもらおう

そう、思うのだ




















黒崎しるふの復帰 完