あの時とこれからの日常

「で、あれの目的は?」

どうせまた小もないことなんだろう

「だからそう言わないで上げてくださいよ。しるふは黒崎先生のことがすーごく大好きなんですから」

すべては愛情の裏返しです

「裏返し、ね。もともとあいつは表で来たことなんて一度もないぞ。根っからねじれてるからな」

「まあまあ。心配なんですよ。新しい女の子が入ってきて、しかも黒崎先生がその子を何かと気にかけてるって知って」

「栢野意か…」

ふと元気いっぱいのボブカットの研修医が思い浮かぶ

「…祈は?」

ふと思い当ったのか海斗はしるふへの視線を莉彩に向ける

「ああ、託児所に預けたって言ってました。しるふのことなんてお構いなしに遊んでるらしいです」

「いらんところでいらん権力を行使する」

あの託児所は月契約制だったはず

一日だけなんて預けられないはずなのだが

はあ、と深い深いため息をつく海斗に苦笑いを返すしかない

「まあ、しるふに頼まれたら誰も断れませんよ」

なんて言ったって黒崎病院のマドンナですから

莉彩の言葉に海斗がふと視線を上げて

「誰があいつの侵入を許可したんだ」

「医局長です」

ついでに言うと婦長も