海斗はしるふを大切にしてくれている
たとえそれが分かりにくい方法であっても
見つめる瞳がいつだって優しいことを知っている
「昔出来たことが夫婦になってできないなんて悲しいじゃないですか。結局いつもそばにいないと相手を思いやれないなんて」
せっかく、一緒にずっといようと夫婦になったのに
手を取り合って歩んでいこうと誓ったのに
自分の忙しさや大変さに目がくらんで相手のことを思いやれなくなっているなんて
そんなの哀しすぎる
それに、そう続けるしるふを見下ろす神宮寺の瞳は優しい
「それに、私は海斗だけじゃなく黒崎先生も大好きですから」
そう言って見上げてくるしるふは、やっぱり美しい
「黒崎先生は、幸せね」
神宮司の優しい声音が、静かなナースステーションにそっと響く
今日一回目のスタットコールが鳴り響く
「黒崎病院高度救命救急センター」
にわかに緊迫する医局の雰囲気の中、少しも取り乱すことなく受話器を取る海斗の、いや、黒崎先生の横顔が好きだ
数年前と変わらない落ち着いた横顔
消防からの指令を受けて動き出す看護師や医師に的確に指示を出す
たとえそれが分かりにくい方法であっても
見つめる瞳がいつだって優しいことを知っている
「昔出来たことが夫婦になってできないなんて悲しいじゃないですか。結局いつもそばにいないと相手を思いやれないなんて」
せっかく、一緒にずっといようと夫婦になったのに
手を取り合って歩んでいこうと誓ったのに
自分の忙しさや大変さに目がくらんで相手のことを思いやれなくなっているなんて
そんなの哀しすぎる
それに、そう続けるしるふを見下ろす神宮寺の瞳は優しい
「それに、私は海斗だけじゃなく黒崎先生も大好きですから」
そう言って見上げてくるしるふは、やっぱり美しい
「黒崎先生は、幸せね」
神宮司の優しい声音が、静かなナースステーションにそっと響く
今日一回目のスタットコールが鳴り響く
「黒崎病院高度救命救急センター」
にわかに緊迫する医局の雰囲気の中、少しも取り乱すことなく受話器を取る海斗の、いや、黒崎先生の横顔が好きだ
数年前と変わらない落ち着いた横顔
消防からの指令を受けて動き出す看護師や医師に的確に指示を出す

