しるふだってそこそこに強いと自負していたけれど

この笑顔あふれる強酒には敵わん、と悟ったのはもう一年ほど前のこと

「で?しるふの悩みはなんなのさ」

塩気の効いたポテトフライを素手で口に運びながら、さっそく莉彩が話題を振ってくる

「ん?いや、まー、何というかね…」

「ま、どうせ黒崎先生がらみでしょ?」

手に付いた塩を手吹きできれいに拭いてから再びビールを飲んでいたしるふが、豪快にむせ返る

「……、な、なんで!?」

「ばれてないとでも思った?医局内全員知ってるわよ。てか、黒崎先生も多分ばれてることを知ってる」

知らないのしるふだけよ

淡々と言いながらビールを一飲みする莉彩の男前ったらない

「ええ!?」

うそでしょ!?

うそって言って!!

「嘘じゃないから。わかったうえでみんな温かく見守ってるの」

満面の笑みが、とても怖い

「ち、ちなみにいつからご存じで?」

頭を抱えながら恐る恐る見上げてくる瞳に、

「ん、五月位?」