「頑張ったんだもん。だから褒めてあげて」

ね?

空いている右手で愛おしそうに撫でながら催促してくる

「…そうだな」

言い表せない安堵を感じつつ、しるふの手に自らのそれを重ねる

いつもなら撫でるとそれを感じるのか蹴ってくる我が子なのだが、

今日は疲れて寝てしまっているようで何も反応がない

それでもそこにしっかりと存在を感じることができる

「二、三日は安静で、入院な」

点滴の残りを確認しつつ、海斗がいつも通りの声音で言ってくる

「はーい」

わかってます、そう言いたげに返事をするしるふに小さく微笑む

「紗雪さんたち連絡してくる」

椅子から立ち上がってしるふの頭を撫でる

「うん」

お願い

幼子のように頷いてそっと瞳をつぶるしるふを満足げに見届けると音もなく部屋を後にする



窓の外の雪は、その厚さを少しだけ増していた