あの時とこれからの日常

年が明け、音もなく雪が降る寒いある冬の日

黒崎病院では年始に伴い、医局長と副医院長、最近では隠居状態の医院長を交えての全体会議が行われていた

巨大なスクリーンを中央に置き、それを取り巻く様に楕円のテーブルにそれぞれ腰を下ろしている

朝から始まった会議は、昼休憩をはさみ、そろそろ終盤に差し掛かっていた

海斗が以前に勤めていた病院は、派閥が出来るほど大きなところではなかったが、内科と外科は仲が悪いだとか医局同士の水面下の小競り合いというものがよくあった

それを耳にするたびに「ちいせーなー」と思いながら、少しうんざりしながら勤務していたのを覚えている

そういうことを考えるとここまで大きな総合病院で派閥もなく、医局同士の仲がいいのは、よく頑張ったというところなのだろう

そうそう

去年の春

海斗の副医院長就任に伴い、少々人為編成があった

海斗の戦友でもある内科医の塔矢が医局長に就任した

麻酔科の荒井はそのまま医局員だが…

ERの医局長も変えるか、なんならしるふに、という話が出たのだが、それは3月に開かれた全体会議で海斗が待ったをかけた

放っておいたらノリでしるふを医局長にしかねないメンバーにあきれつつも、変な気兼ねをしなくていい、気を遣わなくていい全体会議に思わず笑みをこぼした