現在しるふは妊娠8週目を数えたが、そこまで実感することのないつわりに首をかしげている

が、目の前の坂井、ER医局長神宮寺晶、医局員園田夏美等々から問答無用産休命令を出され、突然出来てしまった暇な時間を持て余している

ので、事務くらいならやれる、と打診しに来たのだ

もちろん一歩も譲歩することなく突っぱねられたけれど

「もう、過保護すぎるのよ、みんなして」

広い黒崎病院をてくてく歩くしるふは、ぼそぼそと文句を並べる

確かにERで今までのように夜勤をしたりと不規則な生活を送っていては、おなかの子によくないのはしるふだってわかっている

それはさすがにしないけど、

「でもさー、少しくらい手伝わせてくれたっていいんじゃないのかなー」

毎日毎日家にいたってやることがない

海斗は毎日帰ってくるわけではないし、(頑張って帰ってきてるのはわかるけど)

もともとERでせっせと働いていたためにこの有り余った時間は、どうも気持ちが悪いのだ

と、見えてきたER

なぜかふと安堵を含む息が漏れて、しるふは苦笑する

仲の良かった飯田莉彩(旧姓)が、育休を取ってしまい、しるふのグチを聞いてくれる人はいない