祝宴会も中盤に差し掛かってきた
お互いに挨拶と少々の近状報告を済ませると大抵仲のいい人たちで固まってしまう
一応海斗は主役だけど、寄ってくるな雰囲気でも出しているのか皆が挨拶だけで去っていく
そんな中話しかけてきたその人は背後にお色気をばんばん醸し出した女性を伴っていた
「まさか、ドイツ留学中に身を固めるとは。君にはわが娘とぜひ、と思っていたのだがね」
笑顔で手を差し出してくる山辺教授と呼ばれた50、60代の男性は、でも言葉に少しとげがあるように思う
「その話は以前にきちんとお断りしたと記憶してますが」
求められた握手に答える海斗からもとげのある言葉が放たれる
さらさらと凪いでいた水面に波紋が広がるようだ
「お相手の御嬢さんのことはあまり知らないのでね。せっかくの機会だ。教えていただけるかな。きっと皆も聞きたいはずだ」
そういって周囲に目をやると確かに回りが興味ありげに動向を見守っているのが分かる
何気ない顔をしていても聞き耳を立てている
海斗がもちろん、というように口だけで笑う
「黒崎病院救命救急医黒崎しるふ。俺が育てた医者は後にも先にもこいつ一人です」
お互いに挨拶と少々の近状報告を済ませると大抵仲のいい人たちで固まってしまう
一応海斗は主役だけど、寄ってくるな雰囲気でも出しているのか皆が挨拶だけで去っていく
そんな中話しかけてきたその人は背後にお色気をばんばん醸し出した女性を伴っていた
「まさか、ドイツ留学中に身を固めるとは。君にはわが娘とぜひ、と思っていたのだがね」
笑顔で手を差し出してくる山辺教授と呼ばれた50、60代の男性は、でも言葉に少しとげがあるように思う
「その話は以前にきちんとお断りしたと記憶してますが」
求められた握手に答える海斗からもとげのある言葉が放たれる
さらさらと凪いでいた水面に波紋が広がるようだ
「お相手の御嬢さんのことはあまり知らないのでね。せっかくの機会だ。教えていただけるかな。きっと皆も聞きたいはずだ」
そういって周囲に目をやると確かに回りが興味ありげに動向を見守っているのが分かる
何気ない顔をしていても聞き耳を立てている
海斗がもちろん、というように口だけで笑う
「黒崎病院救命救急医黒崎しるふ。俺が育てた医者は後にも先にもこいつ一人です」

