果たして秋穂の言ういい子に当てはまるかわからないが、変化球なら一人

日々四方八方、海斗ですら予想できない方向に跳んでいく

まずはあれを医者として育て上げなければ、とため息とともに思うのだ

「とにかく楽しみにしてるからね、海斗君が誰かと一緒に入ってくるの」

いつもいつも一人でくる海斗が、連れてきたらきっとその人は特別な人

海斗が隣に並べるのはいったいどんな人だろう

綺麗な人だろうか、かわいい人だろうか

いろんな人を想像して秋穂は一人でふふっと微笑む

海斗のめんどくさそうなため息を聞きながら

「そうだ、海斗君。今日早めに閉めてもいい?」

空になったカップを持ちながら立ち上がった秋穂は、思い出したように海斗を振り返る

「どうぞ。もうあらかた終わってるんで」

そう言って向けられた漆黒の瞳に、気遣うような光がある

「お墓参り、ですか」

そんなにわかりやすい顔していただろうか

もう少し前に進んでるはずだったんだけど

海斗の言葉に思わず苦笑を漏らす