これじゃあせっかくの食事も砂を食べてるのと変わりないわ
と豪華な食事を前にしても手を伸ばす気にならない
さっさといちゃもんでもつけてきてくれたら楽なのに
「食べないのか」
ウエイターから物のよさそうなワインを受け取り、海斗が珍しそうに尋ねてくる
「んー、ゆっくりとまったりと食事するのが私のモットー」
こんなところで食べてもおいしくもなんともないもん
自分は飲む気がないのか受け取ったワインをそのまましるふに渡す
その口調がいつも通りのしるふだったので思わず小さく笑みが漏れる
「黒崎君」
背後から低い声に呼ばれて。二人で同時に振り返る
立っていたのは、50代くらいだろうに、紳士的な雰囲気を放つ一人の男性
その後ろに少し若めの秘書っぽい人が控えている
「お久しぶりです。鈴木会長」
海斗が名前を憶えてるってことは、そこそこに重要な人かー、と隣で鈴木会長たる人をインプットする
「副医院長就任おめでとう。それからご結婚も」
ふとしるふに優しそうな瞳を向けつつ、ゆったりとした口調で述べる
「ありがとうございます」
海斗の口調に嫌味のないことを感じ取ったしるふは、この人はいい人か、と隣で一人思う
と豪華な食事を前にしても手を伸ばす気にならない
さっさといちゃもんでもつけてきてくれたら楽なのに
「食べないのか」
ウエイターから物のよさそうなワインを受け取り、海斗が珍しそうに尋ねてくる
「んー、ゆっくりとまったりと食事するのが私のモットー」
こんなところで食べてもおいしくもなんともないもん
自分は飲む気がないのか受け取ったワインをそのまましるふに渡す
その口調がいつも通りのしるふだったので思わず小さく笑みが漏れる
「黒崎君」
背後から低い声に呼ばれて。二人で同時に振り返る
立っていたのは、50代くらいだろうに、紳士的な雰囲気を放つ一人の男性
その後ろに少し若めの秘書っぽい人が控えている
「お久しぶりです。鈴木会長」
海斗が名前を憶えてるってことは、そこそこに重要な人かー、と隣で鈴木会長たる人をインプットする
「副医院長就任おめでとう。それからご結婚も」
ふとしるふに優しそうな瞳を向けつつ、ゆったりとした口調で述べる
「ありがとうございます」
海斗の口調に嫌味のないことを感じ取ったしるふは、この人はいい人か、と隣で一人思う

