あの時とこれからの日常

「しるふが変わるべきところは、そこじゃないだろ」

再び、漆黒の瞳とブラウンの瞳が交わる

「…無自覚を自覚しろ、とか言う?真面目な話してるんだけど」

「いたって真面目」

「どこがよ。ねえ、夫婦になるんだもん。もう少し同じ立場に立っても良いんじゃないかな」

これじゃいつまでたっても彼の背中に守られて

ああ、何かあったんだろうなって思ってるしかできない

近くに居そうで、その部分だけ決して触れることはできない

もっと、もっと寄り添っていたいのに

「海斗はさ、プライド高すぎだよ。私の前まで強がらなくていいじゃない」

「しるふに言われたくないけど」

「…怒るよ、海斗」

ふっと細められた瞳に

「もう怒ってるだろ」

さらりと海斗が返す

漆黒の瞳は、今何を考えているかわからない

「だから…!!」

真面目な話してるんだってば!!と叫びそうになったしるふの言葉を、海斗の静かな声音が遮る