「海斗君さ、いつも仕事してるじゃない?そんなにパソコンとにらめっこしてると目悪くなるよ」

秋穂の言葉に動きを止める海斗に

「ん?どうかした?」

両手で大事そうにカップを持ったまま小さく首を傾げる

「いや、この間同じことを言われたんで」

思い出されるのは、くすみ一つないブラウンの瞳と耳通りのいい少し高めの声

「へー、彼女だ」

にやっと笑いながら身を乗り出してくる秋穂に漆黒の瞳が怪訝そうに細まる

「違います」

どうしてそうなるんですか

「じゃあ、彼女候補?」

「それも違います」

即答

「えー、つまんない。海斗君って浮かれた話題ないわよね」

ほんとつまんないわー

すねた様に背もたれに寄りかかって睨まれるが、

秋穂を楽しませるためにここに来ているわけではない海斗に、どうしろというのか

「海斗君さ、もう少し適当に生きないとそのうちパンクするよ?」

経験者は語るってやつ?