あの時とこれからの日常

「黒崎先生は軽く芸能人だと思いますよ、私」

ひょこっと二人の間から顔を出した園田がさらっと口にする

ああ、それ言っちゃう?としるふは園田の無邪気な瞳を見つめ、隣で

「…園田、お前デリカシーがないな」

胡乱気に眉を寄せた海斗が嫌そうに園田を見下ろす

「黒崎先生に言われたくないですけどねー。でも事実じゃないですか、ねえ?立花先生」

「え?ああ、まあ、そう…かもね」

話を振られたしるふは、海斗の細められた瞳の元、

海斗の、同意するのか、お前は、という声にならない声が聞こえてきそうで

言葉を濁すしかない

「さーて、そろそろカンファレンス始めますか」

3人の、ないしは2人の無言のやりとりを見つめていた神宮寺が

立ちあがりながら終止符を打つ

途端に空気が引き締まったのを感じて、思わず神宮寺は微笑んだ



「よっしゃー、今日も頑張りますかー」

カンファレンス終了後、んーと大きく伸びをしながら

ICUまでの階段を下りると

「おはようございます、立花先生。というより、副院長夫人?」

前半は畏まって、後半はからかい交じりに声をかけてくる莉彩