思えば、あの頃はこんなにもにぎやかな休日を過ごしていなかった

懐かしさとともに部屋に入って、布団になだれ込み、気のすむまで寝て

時々そこら辺をふらふらと歩く

気晴らしにジムに行ったりすることはあってもそのほとんどが睡眠に消えていっていた休日

そんな時にたまたま見つけたのが、秋穂の経営する小さなカフェだった

個人経営の良さを惜しみなく出す店内はとても落ち着いていて、すぐに海斗の休日の仕事場になった

いつか常連と位置付けられるようになり、

話をするようになってから秋穂とは不思議な関係だ

しるふにその関係を疑われたのは、ずいぶんと前のことになってしまったけれど



「かーいと君」

優しさを含んだ穏やかな声に呼ばれて顔を上げると、

ティーカップを二つ持った秋穂が立っていた

はい、と片方を海斗の近くに置き、向かい側の木製の椅子に腰かける

「サービス。新しく入ったブルーベリーの紅茶でね、目に良いのよ」

にこにこ笑いながら紅茶を口にする秋穂は、年上とは思えない無邪気さを持っている

厚意に甘えつつ、いったん仕事を中断する