「そうやってさ、時々紳士的なことしてくるもんね。海斗らしいって言えばらしいんだけど、本当に時々で心の準備ができてないって言うか、不意打ち過ぎるって言うか」

ぶつぶつつぶやきながらせっせと包みのテープを剥がすしるふを

素直にうれしいと言えばいいのに、と

本当にいつまでたっても素直になるのが苦手な奴だ、と

それでもそんなしるふの心の声が分かってしまう自分が相手だから別にいいか、と思いながら見つめる

「よし、取れた。……ヴァイオリン?」

小さな箱の中身はクリスタルのヴァイオリン、の形をしたオルゴールだ

どこかで似たものを見たことがある気がする

「クリスマスプレゼントのペア?」

ヴァイオリンをひっくり返してつまみを回しながらしるふが海斗に視線を向ける

「ペア、にするつもりはなかったんだけど。ピアノが二つあってもしょうがないだろ」

インテリアとして飾るのなら

日本製のオルゴールにはない、澄んだ音色が響く

「そうだね」

嬉しそうにほほ笑みながら、飾ってあるピアノの隣にそっと置く