あの日の後日談 -海斗&しるふー


「ああ、そうだ、しるふ。これ」

「ん?」

せっせと荷物の片づけをしている海斗を横目に

久々のミルクティを飲んでいたら海斗が思い出したようにキャリーバックから小さな包みを取り出す

荷物に埋もれて存在を忘れられていたらしい

そういうところ海斗らしいったらない

とは思いつつも海斗から包みを受け取る

「何?これ」

「お土産」

「お土産?え、これは」

ほんの数十分前に渡された真紅の輝きを指さし、海斗を見上げる

「そんなのどこだって買えるだろ。わざわざドイツで買ってくる意味が分からない」

…言われてみれば

「じゃ、これどこで買ったの」

「帰る途中で見つけた花屋」

「そうですか…。…思いつき?海斗」

まあ、ドイツから帰ってくるシチュエーションをいちいち考えるような奴じゃないか

そういう自然体なところも、まあ、時々美点だからな

そう思いながら丁寧に包みのテープを剥がす