「ご指名は?」

自らが積み上げた山の前にしゃがみ、しるふを振り返る

「んー、そのピンクの箱のにしようかな。夕飯前の腹ごしらえにはちょうどいい大きさのような気がする」

山の中腹ほどにあるそれを、そっと抜き取りしるふの隣に戻る

「ありがとう。…あ、そだ、これ」

海斗から箱を受け取るのと引き換えに海斗に違う箱を手渡す

「一応バレンタインでしょ、だから」

不思議そうに箱を見つめる海斗に少し恥ずかしそうにしるふは、早口で付け加える

「何にするか結構悩んだんだからね、褒めてよね」

「ああ、ありがとう。もらえるとは思ってなかった」

海斗の言葉に、照れながら頷き、チョコレートをつまむ

「さすがしるふ、わかってる」

包みの中身は、秋穂に特別にブレンドしてもらった海斗好み(だろう)の紅茶だ

ここでチョコレートとかを渡すほどセンスのない女ではない

「でしょ?ホワイトデー、期待してるから」

にっこりと満足げにほほ笑むしるふに

「そう最後にプレッシャーをかけてくるところもさすがだよ」

そう返しながら、そっと柔らかな髪を撫でる

途端、嬉しそうに気恥ずかしそうに笑ったしるふの笑顔には、

やっぱり絶対何も敵わない












そんなこんなのバレンタイン おまけ 完