あの時とこれからの日常

「昨日さ、」

意を決したように口を開く莉彩に、しるふのブラウンの瞳が向けられる

「普通の人と付き合えばよかったなー、って言ってたじゃない。黒崎先生に知らない女からたくさんバレンタインチョコが贈られてくることに嫌気がさしてるのかと思ったんだけど」

「ん?…あー、昨日言ったね、そんなこと」

あれはさー、

と莉彩の心身的疲労なんて感じもせずに微笑むしるふの背後から

「心配しすぎなんだよ、飯田は」

トントン、と階段を下りてくる海斗が会話に加わる

「原因は黒崎先生ですよ」

元をたどれば、海斗に贈られてくる段ボールの中身が原因だ

「知りたいか?これの真意」

莉彩の細められた瞳に笑いを返しながら、これ、としるふを指さす

これ言わないで、と言いたそうにしるふが海斗を睨んでいるのを横目に

「真意って、昨日の発言のですか」

「ああ」

まさか海斗がそこを理解しているとは思っていなかった莉彩は、瞳を大きくする